家族信託 事例2

事例2障がいのある子供の生活保障を
兼ねたケース

60代であるXさんには2人の子供、長女Aさんと二女Bさんがおり、Bさんは精神的な障がいをもっているため自立した生活は難しい。Xさんは自分が面倒を見られる限りBさんの世話をするつもりだが、自分に万が一のことがあった場合、可能であればAさんにBさんの面倒を見て欲しいが、過度な負担は掛けたくないが何か良い方法がないか相談したいということでいらっしゃいました。

問題となるのは、障がいを持つBさんに対する長期的な財産の給付を行うことが遺言では難しく、また、後見制度ではXさんが認知症になってしまった場合は、Xさんの財産を維持することに主眼が置かれてしまうので、同じくBさんに対する保護が難しくなってしまうことです。XさんとBさんの双方に対して後見制度を利用する場合もありますが、費用がかなりかかってしまいます。

解決策として、Xさんを委託者兼受託者、Aさんを受託者として信託しておき、Xさんが認知症になるか、又は死亡した場合に、Bさんが受益者として定期的に財産の給付を受けることができるようにしました。また、AさんがBさんの世話をする人を選定し、訪問看護等の契約ができるようにすることにより、Aさんとしては財産管理に専念し過度な負担がかかることを回避するようにしました。更にAさんに対しては受託者として一定の報酬を支払うことにより、Aさんとしても財産管理業務に対して責任感をもって行って頂くことができます。

ポイントご本人の望む方法を実現し、ご家族にも
納得して協力してもらえる

Xさんにとっては、Aさん、Bさん共に可愛い我が子ですので、2人を差別するようなことは当然したくなかったはずです。しかし、Bさんに障がいがある以上どうしてもBさんにかける時間が増えてしまい、更に将来的にはAさんに対する負担が大きくなってしまうという不安もありました。遺言書で2人平等に財産をのこしても、Aさんが納得してくれず、結果Aさん、Bさんが疎遠になることもあります。

信託は多くの財産を持っている方だけが関係あることだと思っていらっしゃる方も少なくありませんが、そのようなことはなく、この事例のようにご自身の持つ財産を1番有効活用し、家族の揉め事を防ぐことのできる手段の1つとして捉えて頂ければと思います。